13.ファイリングに関する動き
13-2.IT戦略
13-2-2.政府のペーパーレス化実施状況
(旧「ファイリングの部屋」アーカイブ)
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これまで hi-ho.ne.jp で公開していた「ファイリングの部屋」を、この新しいドメイン(filingroom..jp)にもコピーしました。不要と思われるページは削除していますが、内容はそのままです。
従来のアドレスにも、当面は残しておきますが、できるだけこちらを利用していただければ幸いです。

 

総務省は2003年 8月 7日に、「各府省における行政事務のペーパーレス化(電子化)の実施状況に係る平成14年度取りまとめ結果について」と題する資料を発表しました。(これは毎年発表されているものです。)
この資料は、政府のペーパーレス化が進んでいることを示そうとしているものですが、よく読むとうまくペーパーレスが進んでいない様子が浮かんできます。
 
電子化の進捗状況
  各府省に共通する行政内部事務として、電子化の対象としている57種類の基本的な事務(文書)の進捗状況を調査しています。
  平成12年 平成13年 平成14年
電子化されているもの
72.1%
81.0%
94.5%
  すべて電子化

20.2%

24.4%

36.5%
  一部電子化
51.9%
56.6%
58.0%
電子化されていない
27.9%
19.0%
5.5%

すべて電子化されているものが3分の1を超え、少しずつ電子化が進んでいます。しかし、電子化が簡単なものから実施されていくことを考えると、今後の推進のためには、まだまだおおきなハードルが残されていると推定されます。

   
主な電子化未実施理由平成13年度取りまとめより
 

「平成14年度ペーパーレス化実施に向けて準備中」 20.6%
「職員の電子化推進意識が低い」 15.9%
「システム(ハードウェア)の未整備又は不具合、機能不足」 12.7%
「アプリケーション(ソフトウエア)の未整備又は不具合、機能不足」 11.8%
「職員の情報機器の操作についての習熟度が低い」 10.9%

官庁ではまだパソコンが完全に導入されていないところや、導入されていてもまだされほど時間が経っていないため、習熟が進んでいないようです。電子掲示板の利用が、一部の人でも利用できない場合、従来通り紙を使わざるを得ません。

   
情報保管状況
 

媒体別の情報保管量は次のとおりです。(情報保管量はA4判の紙に換算した枚数を単位とし、換算に当たっては、紙は1ファイルメーターを10,000枚に、電子媒体に保管されている情報は1600バイトを1枚に、それぞれ換算して算出している。数値の単位は万枚)

 
97年度
98年度
99年度
00年11月
01年3月
02年3月
03年3月
6.2
7.0
6.3
5.9
4.9
5.3
3.2
電子媒体
8.5
11.4
19.1
20.4
28.4
35.6
67.2
合計
14.8
18.6
25.5
26.4
33.3
40.9
70.3

紙の書類が00年11月に一旦減っていますが、これは01年 1月に実施された省庁再編に向けての準備として、大量の書類が廃棄されたためです。00年11月までと01年3月以降では、各府省における調査対象課室が異なるため、単純な比較はできません。
01年以降は電子政府構想の進展に従う形で、情報量の増加のほとんどの部分は電子媒体となっていますが、紙の情報も減るどころか年に10%以上の割合で増加しています。

   
LAN上のサーバーで共有
  上記の情報保管量のデーたのうち、01年以降からは、LAN上で共有しているデータ量も示しています。それによるとLAN上で共有しているデータは01年 3月では4.7万枚(電子媒体全体では28.4万枚)、02年 3月では9.2万枚(同35.6万枚)、03年 3月は25.0万枚(同67.2万枚)と、その比率は増加しているものの、電子化している量に比べて、共有している量はごくわずかです。
ほとんどのデータは電子化したものの、関係者へ電子メールで送付する以外は、担当者のパソコンに保存されたままの状態のようで、有効活用にはまだまだの様子です。
   
電子化の効果
  ペーパーレス化の主な効果的事例として、資料5にまとめていますが、ほとんどはコピーと配布に関する時間の節約と、紙の使用量削減だけをあげています。一般には、コピー費用や資料保管スペースの削減、後から検索するために必要な時間なども含め、節約された時間は人件費に換算して、効果を把握しようとしますが、官庁では人件費の概念や、コピー費用などは考えないのでしょうか。
   
まとめ
  この調査結果は、行動計画の最終年度に当たる平成14年度の各府省における実施結果を取りまとめたもので、平成12年度から3か年にわたり取り組んできた行政事務のペーパーレス化(電子化)は、現時点では実施に当たり電子化が困難なものを除き、電子化対象57事務(文書)はほぼ電子化(一部電子化を含む。)されたとしています。
一般の電子化の推進では、電子データ化するのはあくまでワンステップとしてであり、その次には情報の共有化、有効利用と続くのですが、縦割り行政の弊害のためか、省庁をまたがったデータの共有といった概念には触れられていません。
   

 

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| 4.書類の整理 | 5.書類の電子化 | 6.電子化書類の活用 |

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| 10.ファイリングを考慮した書類の作成 | 11.マネジメントシステム |
| 12.リスク管理 | 13.ファイリングに関する動き | 14.付録 | 15.編集雑記 |


Updated on 2013/09/28