13.ファイリングに関する動き
13-4.国土交通省CALS/EC
(旧「ファイリングの部屋」アーカイブ)
ファイリングの部屋
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これまで hi-ho.ne.jp で公開していた「ファイリングの部屋」を、この新しいドメイン(filingroom..jp)にもコピーしました。不要と思われるページは削除していますが、内容はそのままです。
従来のアドレスにも、当面は残しておきますが、できるだけこちらを利用していただければ幸いです。

 

国土交通省CALS/ECとは
  CALSについては別のページで説明していますので省きますが、建設CALSの場合は、「Continuous Acquisition and Life-cycle Support」(生産・調達・運用支援統合情報システム)と解されています。また、「EC」とは、(Electronic Commerce)の略で、電子上の商取引を意味します。
建設省(現国土交通省)は「CALS」と「EC」を組み合わせ、そしてこれに「建設」を付けることによって「建設CALS/EC」と称しました。建設CALS/EC(公共事業支援統合情報システム)は、「これまで紙でやりとりされていた公共事業に関する情報を、標準に基づいて電子化し、情報機器をネットワークに接続することにより、特定の機器、システムに縛られることなく、組織を越えて情報の伝達、共有、処理、加工、検索、連携を可能とする環境の総称」と定義されています。調査計画にはじまって設計・積算、入札・契約、施工、そして維持管理に至る事業執行プロセスのライフサイクルにわたって、これまで「紙」でやりとりしていた情報を電子化し、インターネット等により関係者が分散共有するシステムです。
 
これまでの経緯
  95年 5月 「公共事業支援統合情報システム研究会」設置
  96年 4月 「建設CALS/EC整備基本構想」(以下「基本構想」という。)策定
  97年 6月 「建設CALS/ECアクションプログラム」策定
  01年 3月 建設CALS/EC(建設省)、港湾CALS(運輸省)、空港設備CALS(運輸省)を統合し、アクションプログラムを変更
  01年 5月 「CALS/EC推進本部」設置
  01年 6月 「CALS/EC地方展開アクションプログラム」策定
  07年 3月 「国土交通省CALS/ECアクションプログラム2005」策定
     
基本構想における整備目標
     
 
  短期 中期 長期
1996〜1998年度 1999〜2005年度 2006〜2010年度
全体目標
実証フィールド実験の開始と一部電子データ交換の実現
統合DBの構築と電子化に対応した制度の確立
21世紀の新しい公共事業執行システムの確立
(ライフサイクルサポートの実現)
1.情報交換
(主に発注者・受注者間)
実証フィールド実験の開始
電子メールの活用促進
窓口業務の一部電子化
電子調達ルールの確立
窓口業務の電子化
設計図書の電子化
成果品の一部電子化
図面交換の一部電子化
物品調達の一部電子化
サービス調達の一部電子化
成果品の電子化
図面交換の電子化
調達の電子化
2.情報共有・連携
(主に発注者側)
実証フィールド実験の開始
一部のDB間連携
技術基準類の電子化
プロジェクトDBの構築
保有図面・図書の一部電子化
統合DB環境の確立
転記作業の完全撤廃
保有図面・図書の継続的電子化
3.業務プロセスの改善
一部業務の電子化対応
新たな業務プロセスの制度化と導入
電子マニュアルの一部導入
電子データ環境における新たな業務執行システムの確立
4.技術標準
CALS標準の導入開始
国内で利用する技術標準の選定
技術動向を踏まえた新たな技術標準の選定
5.国際交流・連携

国際連携のフレームづくり
(国際会議出席、ネットワークづくり)

諸外国との情報交換体制の確立
(Internetの活用等)
   
(建設マネジメント 2006年5月号より)
     
     
ファイリングから見たCALS/EC
 

一般には、電子調達(工事の入札をネットワークを使って行う)・電子納品が注目を浴びていますが、ファイリングの観点から見れば、ペーパーレスが重要なキーワードとなります。
建設工事などでは、工事に関する図面などを完成図書として整備し、発注者に引き渡しますが、これまではすべて紙の状態で渡していたため、膨大な量となっていました。これを電子データとすることで、ペーパーレスとなり、書類の保管場所が少なくてすむだけでなく、CADファイルをそのまま保存することで、改造工事や補修工事の際にも再利用が容易となり、コストダウンを図ることができます。
構造設計などの計算データやCADデータをそのまま保管するだけでなく、工事写真の電子データ化(デジタルカメラの利用)など、可能なものはすべてデジタル化する方向にあります。

これらの電子データ化は、これから発生するものを対象としたものですが、これらのデータをデータベース化しようとするニーズから、これまで書面でしかなかった古いものにまで、徐々にさかのぼって電子化しようとする動きが発生しています。
(紙の図面をスキャニングしてイメージファイルとして電子データとし、。)

     
他業界への波及効果
 

CALS/ECは建設業界にとどまらず、他の業界にまで波及しようとしています。
建設CADデータ交換コンソーシアム(Construction CAD Data Exchange Consortium、略称 C-CADEC)は、建設業における設計製造情報を中心としたEC(電子商取引)の推進を目指して、情報処理振興協会(IPA)が実施する企業間高度電子商取引推進事業の一環として平成 8年 6月に発足した企業コンソーシアムのことです。 このコンソーシアムでは、各検討テーマ毎のWGを中心として作業を進めました。
(このコンソーシアムは、1999年 5月に活動を終了しています。)

描画データ交換WG 建築リスト形式データ交換WG 空調設備CADデータ交換WG
設備機器ライブラリデータ交換WG 電気設備CADデータ交換WG 鉄骨データ交換WG
電設リスト形式データ交換WG 国際標準化技術WG  

コンソーシアムのWGで推察されるように、鉄鋼、電設、空調、設備機器など幅の広いメーカーへ広がることを示しています。

     
ISO9000sとISO14000との関係
  建設省では、1997年 7月の「公共工事の品質確保等のための行動指針中間報告」において、「今後、品質システムである ISO9000 シリーズ、環境システムである ISO14000シリーズ等の導入を促進していくことが重要である。」としています。これは、建設CALS/ECで進められている電子入札への参加資格としてこれらのISOを取得することを義務付けるものです。
この方針を受けて建設省は、2000年度から技術的難易度の高い工事を中心にISO9000s認証取得を競争参加資格の条件にするとし、対象案件の公表を行っています。
     

 

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Updated on 2013/09/28