11.マネジメントシステム
11-2.文書情報マネジメントシステム
(旧「ファイリングの部屋」アーカイブ)
ファイリングの部屋
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これまで hi-ho.ne.jp で公開していた「ファイリングの部屋」を、この新しいドメイン(filingroom..jp)にもコピーしました。不要と思われるページは削除していますが、内容はそのままです。
従来のアドレスにも、当面は残しておきますが、できるだけこちらを利用していただければ幸いです。

 

組織における各種業務には文書が不可欠です。業務を円滑にするため、さまざまな文書やデータを効率的に管理することが重要です。そのための手段として、ハード・ソフト・コンテンツを機能的に組み合わせ、目的に応じて文書情報を有効に活用できるようにすることが「文書情報マネジメント」です。
 
文書情報マネジメントの重要性
 

文書情報にはさまざまな形式があります。
請求書や明細書など紙に印刷されフォルダにファイルされたもの、パソコンで作成しハードディスクなどに保管した電子データ、紙文書や写真などをスキャニングし、電子データとしたもの、電子メール、音声やビデオを記録したテープやディスク、インターネットで使われているWebページなど様々です。

いずれも企業にとって重要な情報資産です。これらの文書情報(コンテンツ)にはビジネス上の課題が多く含まれています。
日々増加する紙文書は、情報の検索性を低下させ、すばやい対応を行うことができません。また手作業による業務処理では、生産性は低いままとなってしまいます。電子データに関しても、例えば電子メールを正しく管理していないため、誤って削除してしまうなどの弊害も想定されます。

共通文書として管理・保管されていない文書情報は、迅速にアクセスできないだけでなく、存在そのものが知られていないために対応が遅れるなど、重要な情報資産が有効に活用されていないケースもよく見られます。一般に労働時間の3割は、情報を探すことに費やされていると言われています。

このような弊害をなくすため、文書情報を統一的に管理し、必要が生じたときにはすぐに対象となる文書を探し出すことがでるようにすることが大切です。急激な社会環境の変化に追従し、企業の競争力を高めることができるだけでなく、リスク管理に関しても、情報管理の重要性は増してきています。

   
文書情報マネジメントの概念
 

文書情報マネジメントは、ファイリングやレコード・マネジメントの要素を含んだ概念であり、ファイリング、レコード・マネジメント、文書情報マネジメントの順に発展したものです。
日本画像情報マネジメント協会(JIIMA)では、「組織の業務を円滑に行うため、文書情報の作成・利用、保管・保存及び廃棄までの文書のライフワーク全体を通じて、確実かつ効率的に管理するための手段として、ハード、ソフト・コンテンツを機能的に組み合わせ、目的に応じて文書情報を有効活用する」ことと定義しています。
書類のライフサイクルから見た管理を、ライフサイクル・マネジメントと区別して表現する場合もあります。
(「書類の一生」のページ参照)

   
文書情報マネジメントの導入メリット
 

文書情報マネジメントを導入することで、いろいろな面でメリットを得ることができます。特に紙文書を電子化し、電子データとして一括で取り扱えるようになることで期待されるメリットについては、経済産業省の「文書の電磁的保存等に関する検討委員会」報告書にまとめられています。

中には、少し違うのではと思えるものもありますが、そのまま転載しておきます。

   
  @業務コストの削減
    A) 作業効率の向上と作業人件費の削減
情報の検索等の作業時間が短縮され、流通・移動コストの削減も期待できる。
B) 保管コストの削減
保管場所の確保が容易になり、保管コストの削減も期待できる。
  A企業競争力の強化
   

A) 法令順守(コンプライアンス)への対応と信頼性の向上
情報共有、作業効率の向上等により、法規制等への対応が容易になり、投資家や顧客からの信頼性向上も期待できる。
B) 顧客満足度の向上
製品情報、顧客管理の電子化により、顧客からの質問・クレームへの迅速な対応が可能となり、顧客満足度の向上を期待できる。
C) 電子政府・電子商取引への対応の向上
電子申請や電子契約の資料として利用することで、電子政府・電子商取引への対応が容易になる。

  Bリスクの管理
    A) 情報共有化によるリスクの早期解決
訴訟、顧客クレーム、品質問題等への早期発見と対応が可能となる。
B) 情報の機密性の強化
電子文書の閲覧・印刷等の権限設定が可能となり、情報の管理、漏洩防止が容易になる。
C) 過失、不正の防止
取引先、顧客、従業員単位での検索性向上により、実務における過失、不行為の発見・追求が容易となり、不正抑止も期待できる。
D) 災害等への対応の向上
災害等に備えたバックアップや分散管理が容易になる。
  Cその他
    A) 環境問題への対応の向上
不要となった紙文書のリサイクル資源としての活用や、紙の物流の削減による排ガス抑制に貢献できる。
B) テレワークの実現
モバイルを活用した在宅勤務やスポットオフィスでの業務等、テレワークの実現に貢献できる。
C) 紙文書から電子文書への橋渡し
顧客が紙により申込み等を行ったものを、企業が電子的に保管するといった環境の構築が可能となる。
D) 社会参加の公平さの向上
文書の音声読み上げや点字による表示を通じて、より多くの人々が容易に商取引等を行うことが可能となる。
     
文書情報マネジメントからエンタープライズ・コンテンツ・マネジメントへ
 

文書情報マネジメント・システムは、一般的には対象とする文書によって個別のシステムが構築されがちです。しかし、それぞれが独立システムとなった場合は、利用者から見れば煩雑なシステムとなってしまいます。また、部門によって対象文書が大きく異なる場合には、部門独自でシステムを構築してしまい、ますます不便なものとなってしまいます。

このため組織や各種システムの壁を越えた情報共有と、運用・管理を実現する統合的な文書情報マネジメントとして、エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント(ECM:Enterprise Content Management)システムと呼び、統合化する動きが高まってきています。

     

 

 

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Updated on 2013/09/28