11.マネジメントシステム
11-3.各種のマネジメントシステム
(旧「ファイリングの部屋」アーカイブ)
ファイリングの部屋
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これまで hi-ho.ne.jp で公開していた「ファイリングの部屋」を、この新しいドメイン(filingroom..jp)にもコピーしました。不要と思われるページは削除していますが、内容はそのままです。
従来のアドレスにも、当面は残しておきますが、できるだけこちらを利用していただければ幸いです。

 

文書情報マネジメント・システムは、一般的には対象とする文書によって個別のシステムとして構築されがちです。ここでは、いろいろなマネジメントシステムについて説明します。
なお、統合的なマネジメントシステムとしてECM(エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント・システム)がありますが、これについては別のページ(「エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント・システム」で説明していますので、ここでは説明を省きます。
 
電子メールアーカイブシステム(E-Mail Archive System)
 

電子メールの利用は、ビジネスだけでなく個人にまで幅広く普及し、手紙やはがきなどの郵便より、利用頻度は高くなっています。ビジネスには欠かせない情報の交換手段となり、重要な取引情報や書類が、電子メール本文、あるはいは添付ファイルとして交換されています。そこで、セキュリティ対策上、また万が一のトラブル発生に備えて、電子メールの保存・管理がより重要になっています。

米国のSOX法(米国企業再生法)では、オフバランス取引(簿外取引)などで、契約書を明確にする目的や、購入依頼書を作成する目的で交換された電子メールは、取引レポートとして保存することが求められており、会計監査に関するドキュメントとして最低7年間の保存が求められています。

電子メールアーカイブシステムは、これらの要求に応えるためのシステムで、ユーザーが削除したメールも保存したり、保存されているメールの内容を改ざんできないようにします。またメールサーバに蓄積される全ての電子メールを対象としているため、メールボックスの容量削減のため、経過時間や容量サイズによってデータを二次記録装置に移して保存する場合もあります。

最近では、企業内の不祥事に関して警察などが家宅捜査を行うときには、まずメールの記録を確保することから始めるとも言われており、自身の潔白を証明するために、大切なシステムといえます。

   
コンテンツ・マネジメント・システム(CMS : Contents Management System)
  テキストや文書イメージ、グラフィックや音声などのさまざまな種類のデジタル情報を統合的に管理して、目的に応じて効率的に利用できるようにする仕組みのことをコンテンツ・マネジメント・システムといいます。
企業内のビジネス文書の管理を行なうドキュメント・マネジメント・システム、企業の情報ポータル、CRM(Customer Relationship Management)、EC(電子商取引)サイトなどと連携するシステム、インターネット経由で広く情報発信するためのWEBサイトのコンテンツを管理するWEBコンテンツ・マネジメント・システムなども含ます。デジタルアセットマネジメント・システムを含める場合もあります。
   
ドキュメント・マネジメント・システム(DMS : Document Management System)
  文書管理システムの発展形といえるもので、狭義には紙ベースの文書・書類をスキャナによりイメージ入力し、検索用インデックス情報を入力、文書のライフサイクル管理などを行います。必要なときにはすばやく該当文書を検索・表示することのできるシステムです。
いわゆる電子化文書(紙文書をイメージ化した文書)を管理するための文書管理システムから、ビジネスプロセスをネットワーク上で実現する大規模なワークフロー・システムまでを含んでいます。
   
レコード・マネジメント・システム(RMS : Records Management System)
  いろいろな方法で作成したり、手に入れた文書を管理するのがドキュメント・マネジメントであるのに対し、どのような文書を記録として管理しなければならないかを決め、必要な期間中、真正で信頼でき、利用できる記録を作成し、維持し、それらの記録の完全性を保護することまでを含めたものがレコード・マネジメント・システムです。 (「記録管理のISO15489」 のページ参照)
   
ウェブ・コンテンツ・マネジメント・システム(WCMS : WEB Content Management System)
 

インターネットの爆発的な普及により、ホームページは企業にとってビジネスプロセスの重要な要素となってきた。企業活動にとって重要な位置を占めるに伴い、ホームページ管理を容易にするために、ウェブ・コンテンツ・マネジメント・システムが生まれた。

WEBサイトで用いられるものには、テキストやイラスト、写真のほか、PDFファイル、音声、動画、Flashコンテンツなど幅の広いものとなってきた。これらのコンテンツ自体を作成するユーザーと、デザイナー、Javaなどのソフトを作成するプログラマーなどの協業作業を迅速にし、ミスの軽減や、公開に先立つ承認プロセスの管理など、WEBサイトを総合的に管理するシステムが、ウェブ・コンテンツ・マネジメント・システムです。

   
ナレッジ・マネジメント・システム(KM : Knowledge Management)
 

ナレッジ・マネジメント(KM:Knowledge Management)は、企業などの組織で持っているいろいろな知識を共有し、活用することで、作業の効率化を図ったり、創造的な仕事につなげようとするものです。
人の持つ知識には、言葉や文章、数式、図表で表すことの出来る「形式知」(「明示知」ともいいます)に対し、勘や直感、経験に基づくノウハウである「暗黙知」の二種類に分けることが出来ます。この暗黙知を形式知に変えることで、組織の共有財産としての知識を体系的にマネジメントしようとするものです。

このページで紹介しているマネジメントシステムは、もともとあった情報、またはすぐにでも手に入る情報をどのように管理するかが課題となっていますが、このKMについては勘や直感、ノウハウの取り扱いが課題となっています。どのようにして暗黙知を取り込み、利用しやすい形に変えていくことが最大の課題であり、どのような方法が効果的であるのかは、まだ明確な答えはなさそうです。

   
ワークフローシステム(WFSM : Workflow System)
 

ワークフローとは、ワークフロー管理連合(WfMC:The Workflow Management Coalition)の定義によると、「ビジネスプロセス全体あるいはその一部の自動化であり、これによってドキュメント・情報・タスクが、手続き規則に従って、担当者から担当者に引き継がれる」機能であるとしています。このワークフローを管理するシステムがワークフロー管理システムです。
ワークフローは、大きく分けて4つに分類できます。

  1. プロダクティブ型
    例えば生損保における保険申込と審査、支払い査定業務など、組織の基幹業務に直結した業務。
  2. アドミニストレーティブ型
    出張清算、交通費清算、購入申請などの事務処理系で、社内承認ルートが定型化されているような業務処理。
  3. アドホック型
    資料回覧などの非定型的な業務であり、ワークフロー・ルートを柔軟に設定できる。
  4. コラボレーティブ型
    技術文書の作成や、システム設計、プログラム開発など、複数の作業者が協力してひとつの業務を実行できる環境を提供する。

今後は内部統制が強化される中、このシステムの重要性が増してくると思われます。

   
デジタル・アセット・マネジメント・システム(DAM : Digital Asset Management System)
 

印刷、映像業界などにおいて、写真や映像などの素材を「資産」として管理し、再利用などに役立てようとするものです。「デジタルアセット管理」、「デジタル資産管理」、「素材管理システム」「メディアアセットマネジメント・システム」などとも言われています。
マスコミ関係では、実際に放送などで使用したもの以外にも、多量の情報を保有しており、これらを再利用するためにも非常に大切なものとなってきています。

   

 

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| 4.書類の整理 | 5.書類の電子化 | 6.電子化書類の活用 |

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Updated on 2013/09/28