11.マネジメントシステム
11-1.ファイリングからレコードマネジメントへ
(旧「ファイリングの部屋」アーカイブ)
ファイリングの部屋
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これまで hi-ho.ne.jp で公開していた「ファイリングの部屋」を、この新しいドメイン(filingroom..jp)にもコピーしました。不要と思われるページは削除していますが、内容はそのままです。
従来のアドレスにも、当面は残しておきますが、できるだけこちらを利用していただければ幸いです。

 

ファイリングは、すでにある書類をどのように整理するかが課題となります。しかし、いろいろな書類が氾濫したり、保存方法が多様化してくると、これら関連するものも含めてトータルで管理する必要性が生まれてきます。
 
ファイリングの意義
 

ファイリングを整備することで得られるメリットは、「ファイリングの意義」のページでも触れていますが、大きく次のような点に整理されます。

  • 書類管理基準の標準化
  • 保管スペースの削減
  • 検索の効率化
  • 情報の共有化
  • 情報の有効活用
  • コスト削減

これらの項目は定性的なものが多く、どの程度のメリットが得られるか定量的にはなかなか出すことはできませんが、定量的にこれを把握しようとした例を「ファイリングのコスト試算」のページに掲載していますので、これを参考にしてください。

     
  電子化データのメリット
    データを電子化すれば、紙でのファイリングに加えて、遠隔地での利用、複製を分散保管することによる災害時への対処などがあげられます。
これらのメリットは社内(組織内)だけのものですが、顧客対応の部門では、問い合わせなどに対する対応時間の短縮、豊富なバックデータを元にした対応ができる、過去のデータを利用した新しいサービスの開始などが可能になり、顧客満足度の向上が図れます。

このようなことはメリット計算が難しく、単純な費用対効果の計算には入れにくいものですが、これだけでも十分にファイリングにかかるコストは回収できると考えることができます。

     
  ファイリングへの取り組み
    ファイリングは、オフィスの引越しなどでファイリングスペースが無くなるなどの機会がなければ、急いで行う必要もなく、現状のままでもなんとかなるものです。このため、ファイリング整備への投資は、新たな利益を生み出すための前向きの投資ではなく、後ろ向きの投資のようにとらえられてしまいます。しかし、コスト削減や顧客満足度の向上などの面から、積極的に投資すべき対象であるとするべきです。
     
ファイリングの解説本
 

ファイリングについて、いろいろな本が出版されていますが、それぞれ内容はもっともらしいことが書かれており参考にはなります。しかしこれらの本を読む上で、 どのような書類を対象として書かれているのかを判断する必要があります。 個人の書類だけを対象としたもの、組織を対象とはしていても、企業ではなく官庁の書類を対象としたものなどです。

特に注意したいのは、個人のファイリングと組織のファイリングであり、これを間違えると、組織ではあってもその中で声の一番大きい人の個人ファイリングとなる危険性があります。(「個人のファイルと組織のファイル」参照)

     
レコード・マネジメント
 

ファイリングの考えは、手元あるいはオフィスにある書類をどのように整理し、利用しやすいように片付けるかを狙ったものです。しかし、この考えを一歩進めると、書類を作成する段階から作成した書類の保管方法を考慮し、さらには廃棄するところまで含めた一連の流れとしてとらえようとした考えまで発展させることができます。これがレコード・マネジメントと呼ばれる分野です。

文書作成にあたっては、法律によって定められたもの、例えば取締役会議事録のようなものを除けば、民間の会社で日常的に行われている会議の議事録作成に関しての、明確な基準はありませんでした。
また、日常の業務活動についても、どのような書類を作成しなければならないかの基準は、それぞれの組織にゆだねられていました。
しかし、最近導入が広がっているISO9000、ISO14000、OHSAS18001では、とのような事を記録し、文書として保存しなければならないとした基準を決める必要に迫られました。そしてここで定めた基準に合うように、文書を作成するようになりました。

このような流れの中で、記録管理(レコード・マネジメント)に関するISO15489(JIS X 0902)が制定されました。

     
ISO15489(JIS X 0902) (詳細は「ISO15489 (JIS X 0902)」のページ参照)
 

前項で触れているように、どのような文書を作成するかについては、法律によって定められたもの以外は、各組織に任されていました。例えば日常的に行われている会議の議事録については、明確な作成基準がつくられていないのが実態でした。

これに対しISO 15489では、どのような記録を保存するかの方針を、最高の意思決定レベルで決定し、それを文書化して組織全体に徹底すべきとしています。また、これらの責任は記録管理者、関連する情報専門家、経営者、部門責任者、システム管理者だけでなく、業務の一環として記録を作成する人を含め、すべての従業員に割り当てることが望ましいとしています。

単なる記録を保存するだけでなく、あらかじめどのような記録を作成するべきかを決めておく、レコード・マネジメントへの拡張が求められています。

   
  「記録」と「文書」
   

ISO15489では、これまではあいまいに使われてきた記録と文書(document)を明確に区別しています。
記録については、「法的な責任の履行、又は業務処理における、証拠及び情報として、組織、又は個人が作成、取得及び維持する情報」としています。このため原則として、変更や修正をしてはいけません。

レコード・マネジメントは、この記録を管理するもので、JISの定義では「記録の作成、取得、維持、利用、及び処分の効率的で体系的な統制に責任をもつ管理の分野であって、記録の形で業務活動及び処理に関する証拠及び情報を取り込み、維持するためのプロセスを含む。」とされ、記録の作成部分から、維持・管理するまでの全てを含んでいます。

     
  アカウンタビリティ
    企業不祥事が多発したことから、コンプライアンス「法令遵守」が注目を浴び、さらにCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)までつながってきています。
コンプライアンス、CSR活動を通じて企業の社会的評価を高めていくために、確かにそのような活動を行っていることを示すためのアカウンタビリティ(説明責任)が必要となっています。ISO15489は、アカウンタビリティのために記録管理を、どのようにすればいいかの指針を示しており、今後は、ますます重要になってくると思われます。
     

文書情報マネジメントへ

 

どのような組織でも、各種業務に対して文書が不可欠です。業務を円滑にするため、文書の作成、利用、保管・保存そして廃棄までのライフサイクル全体を通じて、文書を確実かつ効率的に管理することが重要となります。
そのための手段として、ハードウェア・ソフトウェアなどを機能的に組み合わせ、目的に応じて文書情報を有効に活用できるようにすることが「文書情報マネジメント」です。
単に文書情報のみを考えるのではなく、これを取り扱うためのシステムまでを含めて考えることが大切です。

     

 

| Topページ | 0.はじめに | 1.情報の記録 | 2.増加する書類 | 3.作成から廃棄まで |
| 4.書類の整理 | 5.書類の電子化 | 6.電子化書類の活用 |

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| 10.ファイリングを考慮した書類の作成 | 11.マネジメントシステム |
| 12.リスク管理 | 13.ファイリングに関する動き | 14.付録 | 15.編集雑記 |


Updated on 2013/09/28