ファイリングシステムとは

日本でファイリングを広めたのは、三沢 仁 氏であり、三沢氏が書かれた「ファイリングシステム」(日本経営協会総合研究所)は、ファイリングシステムのバイブルとも言われています。
この「ファイリングシステム」は、初版は昭和25年に発行されたあと何度か改訂され、最終は五訂として平成 4年に発行されましたが、現在は絶版となっています。

三沢 仁 氏のファイリングシステム

この本の中でその目的を「組織体の記憶の確保」としており、『実務的には「(1)文書の私物化、(2)事務室の文書倉庫化、(3)書庫の無管理状態」を解決するための方策である』とし、「ファイリングシステムとは、組織体の維持発展のために必要な文書を、その組織体のものとして、必要に応じ即座に利用しうるように組織的に整浬保管し、ついには廃棄するに至る一連の制度のことである』としています。

  • 1. 要らぬ文書は捨てる、
  • 2. 私物化させない、
  • 3. すぐ出せるということが肝心である、
  • 4. 整理保管するだけでなく
  • 5. それを捨てるところまでを管理すること、
  • 6. 全社的な制度になっていること、

(「五訂 ファイリングシステム」p15)

書類整理やファイリングの解説書などは、ほとんどがこの考え方をベースとして説明されており、日本経営協会が行っている「ファイリングデザイナー検定」も、これがベースとなっています。ここで注意したいのは、三沢氏の説明しているファイリングシステムは、事務部門を対象としているもので、技術部門は対象としておらず、工夫が必要となる。

『事務部門を規制する約束を決めるのは総務部門であり、技術部門では技術部であり、いわゆる事務屋と技術屋とを規制する部署が違うからである。・・・ファイリングシステムの導入に際しては、事務部門だけを対象にするのが無難である。』(「五訂 ファイリングシステム」p25)

 

文書のライフサイクル

文書は作成されてから、利用され、最後は廃棄に至るまでの過程を文書のライフサイクルと言い、「作成・発生」→「処理」→「保管」→「廃棄」とされますが、下図のように表されることもあります。


ここで、「保管」と「保存」についてですが、ファイリングシステムにおいては、使用する部門の管理のもとに、事務室にとっておかれる状態を「保管」といい、あまり使われなくなった文書を、文書管理部門の管理のもとに取っておかれる状態を「保存」としています。
パソコンなどでは「保管」の言葉は使われることがなく、作成途上のものでもすべて「保存」であり、同じ言葉でも違った意味でとらえられられます。(「保管」と「保存」について、もう少し詳しい解説はこちら)