「保存」と「保管」

三沢 仁 氏の「ファイリングシステム」では、『よく使われる文書が、使用課の管理のもとに、事務室にとっておかれる状態を「保管」といい、あまり使われなくなった文書が、文書担当課の管理のもとに取っておかれる状態を「保存」という。』と説明しています。(「五訂 ファイリングシステム」p24)
パソコンなどでは「保管」の言葉は使われることがなく、作成途上のものでもすべて「保存」であり、同じ言葉でも違った意味でとらえられられます。

「移し替え」と「置き換え」

利用頻度の落ちた文書は、使いやすい場所から使いにくくてもよい場所に移すことを「移し替え」と呼びます。よく説明に利用されるのは3段キャビネットの上の2段を当該年度の書類を入れる場所とし、年度が替わった時に、上2段の書類から不要なものを廃棄したうえで、下の1段に移すことが「移し替え」です。この作業の前に、下の1段にあった書類は、不要なものを廃棄したうえで書類保存箱に入れて倉庫などに移すことを「置き換え」と呼びます。


ここで、キャビネットに入れてオフィス内で使いやすいようにしているものが「保管」であり、倉庫などに移したものが「保存」です。「保管」はすぐにでも利用できるようにしているもので、「保存」では、倉庫まで文書を探しに行ったり、外部の倉庫業者から取り寄せるための時間が必要となります。

移し替え・置き換えのタイミング

この前の項で、年度が替わった時に「移し替え」・「置き換え」を行うと書いていますが、これは事務部門での業務を念頭に置いたものであり、業務のサイクルがほぼカレンダー通りに進むことが前提となります。

技術部門であったり、事務部門でも複数年にわたるプロジェクトなどの場合は、業務が一段落した時に行います。
長期間が必要となるプロジェクトの場合は、プロジェクトを構成する工程が終了した時点で行うなどの工夫が必要となります。